Letter

TGF-β:TGF-β抑制因子SKIの変異は大動脈瘤を伴うシュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群を引き起こす

Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2421

トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βシグナル伝達の上昇は、マルファン症候群(MFS)やロイス・ディーズ症候群(LDS)を含む、大動脈瘤形成症候群の症状の発現機序に関与している。しかし、LDSの多数の原因変異の位置や特徴からは、TGF-βシグナル伝達の低下の関与が考えられる。あわせて考えると、これらのデータから、疾患の発症機序におけるTGF-βの特異的役割についての矛盾が生じる。シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群(SGS)は、MFSおよびLDSと、大動脈瘤を含む表現型にかなりの重なりがある。我々は、SGSを罹患する10人において、TGF-β活性の既知の抑制因子であり、がん原遺伝子であるSKIに原因となる差異を同定した。罹患者の培養皮膚繊維芽細胞では、対照細胞と比較して、TGF-βシグナル伝達カスケードの活性化亢進や、TGF-β応答遺伝子の高発現がみられた。ゼブラフィッシュにおいてSKIパラログをモルフォリノによってサイレンシングすると、ヒトのSGSでみられる異常が再現された。これらのデータは、TGF-βシグナル伝達の増強がSGSの原因となる機構であること、また、シグナル伝達の亢進が大動脈瘤形成症候群の多数の症状の発現に寄与するという結論を裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度