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感染症:サハラ砂漠以南のアフリカにおけるヒト侵襲性のネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)病原菌変異体の大陸内伝播

Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2423

最近、非常に重篤な侵襲性非チフス性サルモネラ(invasive form of non-typhoidal Salmonella:iNTS)症が、サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国々で報告されている。iNTS症を引き起こす最も一般的なサルモネラ菌(Salmonella enterica)血清型は、ネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)である。我々は、全ゲノム配列決定を用いた系統発生解析法を利用して、サハラ砂漠以南のアフリカの侵襲性ネズミチフス菌分離株の集団構造を明らかにし、世界中のネズミチフス菌集団と比較した。特に注目すべきは、サハラ砂漠以南の侵襲性ネズミチフス菌分離株の大部分が、2つの近縁な、高度にクラスター化された系統発生学的な系統内に含まれており、この2つの系統が、現在のHIVの世界的流行と時間的に密接に関連して、約52年前および約35年前に独立に出現したと推定されることである。系統IIの分離株による系統Iの分離株のクローン置換は、iNTS症の治療へのクロラムフェニコールの使用の影響を受けたことによる可能性がある。我々の解析は、サハラ砂漠以南のアフリカで流行しているiNTS症が、1つには、ヒト集団の免疫機能低下や抗生物質治療に伴って新しい疾患分野(ニッチ)を占めた非常に近縁なネズミチフス菌の系統群によるものであることを示唆している。

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