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神経芽腫:LIN28Bはlet-7の抑制を介して神経芽腫を引き起こし、MYCNレベルを高める
Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2436
LIN28Bは、let-7ファミリーのマイクロRNA(miRNA)を調節することで、発生過程を調節する。がんにおけるLIN28Bの働きが指摘されているが、in vivoでの実証はなされていない。本論文では、いくつかの腫瘍実質組織や正常組織と比較し、高リスク神経芽腫では、LIN28Bのゲノム異常と発現の大過剰がみられることを報告する。LIN28Bの高発現は、神経芽腫における有害転帰の独立リスク因子であった。LIN28Bはlet-7ファミリーのmiRNAの抑制を介してシグナルを伝達し、その結果、神経芽腫細胞においてMYCNタンパク質の発現を上昇させた。LIN28B–let-7–MYCNシグナル伝達は正常な神経芽細胞や神経芽腫細胞の分化を遮断した。これらの知見は、マウスモデルで完全に再現され、交感神経のアドレナリン作動性細胞系統でのLIN28Bの発現が、神経芽腫(let-7ファミリーmiRNAの低レベルとMYCNタンパク質の高発現を特徴とする)の発生を誘導した。この経路の干渉により治療上の展望が開けるかもしれない。