Letter 孤発性発達障害:アクチン遺伝子ACTBおよびACTG1のde novo変異はバライスター・ウインター症候群を引き起こす 2012年4月1日 Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.1091 脳の異形成は個人にとっては稀な疾患だが、発達障害の原因としては非常に多い。多様な形成異常が孤発的に生じ、同時に繁殖適応度が低下する。 このことは新規突然変異がその原因であることを示している。本論文では、頭蓋顔面の独特な所見、眼の各種部位の欠損、神経細胞移動障害といった、特徴的かつ明確な症状を呈する疾患、いわゆるバライスター・ウインター症候群の場合について報告する。発端者とその両親のトリオ3組に対して全エキソーム塩基配列決定を行うことで、細胞質アクチンをコードしている遺伝子ACTBとACTG1のde novoミスセンス変異が、それぞれ1人および2人の発端者に生じていることを明らかにした。さらに、上記3人以外の罹患者15人の両遺伝子の塩基配列を決定し、 すべてにおいて疾患の原因となる変異を同定した。これらの変異には、再発する新規変異が含まれていた(すなわち、ACTBではp.Arg196His、ACTG1ではp.Ser155Phe)。今回の結果は、トリオに対するエキソーム塩基配列決定が孤発性発達障害の原因遺伝子の発見に有効な手段であることを立証し、発達における細胞質アクチンタンパク質の機能上の重複性を強調し、バライスター・ウインター症候群がこれら2種類の遺伝子の変異に関連した主な疾患群であることを示唆するものである。 Full text PDF 目次へ戻る