Letter 筋ジストロフィー:コシャペロンDNAJB6の細胞質機能に 影響を与える変異によって肢帯型筋ジストロフィーが引き起こされる 2012年4月1日 Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.1103 肢帯型筋ジストロフィー1D型(LGMD1D)は10年以上前に染色体7q36との連鎖が示されたが、その遺伝学的原因は明らかになっていない。本論文では、フィンランド、米国およびイタリアの9つのLGMD罹患家系を研究し、普遍的な発現が見られるコシャペロンDNAJB6において、p.Phe93Leuあるいはp.Phe89Ileの変化を引き起こす4つの優性ミスセンス変異を同定した。in vivoでの機能解析から、これらの変異は、特にDNAJB6の細胞質型アイソフォームによって仲介される毒性についての優性効果を持つことが示された。in vitroにおける研究から、これらの変異により、DNAJB6の半減期が延長されるため、変異の効果は野生型タンパク質にも及び、野生型タンパク質の保護作用である抗凝集効果を低下させることが示された。さらに、DNAJB6が、筋原繊維性ミオパチーの原因タンパク質であるBAG3を含む、CASA複合体の因子と相互作用することを示す。本研究のデータから、LGMD1Dの遺伝学的原因が同定され、それにより、その発症機序はシャペロン機能異常によって仲介されることが示唆され、また、普遍的な発現が見られる遺伝子の変異が、どのように組織、アイソフォームおよび細胞内コンパートメント特異的に効果を発揮できるのかが明確になった。 Full text PDF 目次へ戻る