Letter 骨肉腫:BCOR-CCNB3遺伝子融合で定義される骨肉腫の新しいサブタイプ 2012年4月1日 Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.1107 サブタイプ特異的な転座の発見は肉腫の診断に革命を起こし、発がん機構の理解にも新しい光を投げかけている。ユーイング肉腫に似ているが、典型的なEWSR1-ETS転座を欠いている骨の小円形細胞腫瘍と診断された患者の試料をRNA-seqを用いて研究した。新規の遺伝子融合がX染色体上でBCOR(BCL6のコリプレッサーをコードしている)とCCNB3(精巣特異的なcyclin B3をコードしている)の間で見られた。RNA-seqの結果はRT-PCRと、腫瘍特異的な遺伝的転座切断点のクローニングにより確認された。594例の一連の肉腫症例のうち24例のBCOR-CCNB3陽性腫瘍が見つかった。遺伝子プロファイリング実験から、BCOR-CCNB3陽性例は他の肉腫、特にユーイング肉腫とは生物学的に異なっていることがわかった。我々はこのサブタイプの肉腫にはCCNB3の免疫組織化学が強力な診断マーカーであること、BCOR-CCNB3または短縮型CCNB3の過剰発現はNIH 3T3細胞のS期を活性化することを示した。かくして、この論文で示したX染色体の染色体内融合は、新たに見つかった遺伝子融合機序による骨肉腫の新しいサブタイプである。 Full text PDF 目次へ戻る