Article iPS細胞:アスコルビン酸は最後まで分化したB細胞のDlk1-Dio3遺伝子のインプリンティングの消失を妨げ、全てがiPS細胞からなる マウスの誕生を促進する 2012年4月1日 Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.1110 誘導多能性幹細胞(iPS細胞)の作製では、インプリンティングを受けたDlk1-Dio3遺伝子クラスターのエピジェネティックなサイレンシングがうまくいかないことがしばしば起こり、完全にiPS細胞のみに由来した成体マウス(「全iPS細胞マウス」)作製の可能性が損なわれることになる。ここでは、アスコルビン酸の存在下では、新生DNAメチル基移転酵素Dnmt3aの結合を妨害するクロマチンの立体構造がとられることにより、再プログラム化でDlk1-Dio3遺伝子の過剰なメチル化が減衰されることを示す。これまではiPS細胞のみに由来する出生マウスの作製に失敗してきたが、この方法により、成熟B細胞由来の全iPS細胞マウス作製が可能になった。これらのデータは、転写因子を介した再プログラム化により、すでに決定が行われた、つまり終末分化した細胞種を、胚性幹細胞と同等な能力を持った細胞種にできることを示している。これらの発見から得られるより一般的な示唆としては、細胞が再プログラム化されている培養条件は、生成するiPS細胞のエピジェネティックな生物学的性質に強く影響しているということである。 Full text PDF 目次へ戻る