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高カリウム性高血圧:KLHL3変異は、遠位ネフロンにおけるイオン輸送の低下を招き、家族性高カリウム血性高血圧を発症させる

Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.2218

家族性高カリウム血性高血圧(FHHt)はメンデル遺伝する動脈性高血圧の病型の1つで、その一部は、Na+-Clコトランスポーター(NCC)の活性を増強するWNK1およびWNK4の突然変異によって発症すると説明されている。まず、2家系を対象に連鎖解析および全エキソーム塩基配列決定を同時に行い、FHHt発症の第3の原因遺伝子としてKLHL3を同定した。続いて、これとは別の患者43人に対して直接塩基配列決定をしたところ、さらに11個のミスセンス突然変異の存在が明らかになった。ここで、これらの変異の表現型および遺伝形式は多種多様であった。ここで、KLHL3に存在する多型の場合には、血圧との関連は見られなかった。KLHL3タンパク質はBTB-BACK-kelchファミリーに属するアクチン結合タンパク質で、Cullin3型ユビキチンリガーゼ複合体の基質を特異的に取り込む役目を果たしている。KLHL3はNCCと共発現しており、細胞表面におけるNCCの発現を減少させる。今回の研究成果は、遠位ネフロンにおけるイオン濃度の恒常性維持、そしてひいては血圧を調節する、複雑なシグナル伝達経路の構成因子として新たに同定された、KLHL3の機能を立証するものである。

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