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運動性繊毛:CCNOの変異は、運動性多繊毛の低形成を引き起こし、先天性粘液繊毛クリアランス異常の原因となる
Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2961
全エキソーム塩基配列決定を行い、気道クリアランスが十分でないことを原因とする破壊性の慢性肺疾患患者16人において(サイクリンOをコードする)CCNOの劣性遺伝性変異を同定した。患者の呼吸器上皮細胞では細胞表面を覆う運動性多繊毛(multiple motile cilia:MMC)の数に顕著な減少が認められた。少数の残存繊毛は軸糸モータータンパク質を正常に発現しており、その運動性を保持し、鞭打ちの動きに明らかな異常は認められなかった。CCNO変異型細胞について、in vitroにおける繊毛形成はもとより細胞内小器官を注意深く調べたところ、母中心小体の形成および配置に異常が見られた。アフリカツメガエルXenopusのCCNOオーソログに対してモルフォリノによるノックダウンを行ったところ、胚の表皮細胞において、同様のMMCおよび中心小体の数の減少が起こった。CCNOは多繊毛細胞の頂端部の細胞質において発現しており、多繊毛細胞の形成をつかさどるマルチシリンの下流で機能する。これまでに得られていた知見を鑑みて、CCNOは、中心小体の自己複製および移動の不具合を原因とするMMC低形成が遺伝性疾患と関係することを示唆する最初の遺伝子である。