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哺乳類幹細胞の詳細なトランスクリプトーム解析により、多能性維持におけるレトロトランスポゾンの制御的な役割が支持された
Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2965
多能性の制御における、マイクロRNAと非コード長鎖RNAの重要性が報告されているが、幹細胞における非コードRNA遺伝子ネットワークについてはよく分かっていない。本論文では、多能性における非コードRNAの役割について、特に核およびレトロトランスポゾン由来の転写物に重点をおいて調べた。ヒトとマウスの幹細胞を用いて、核および細胞質の詳細なトランスクリプトームプロファイリングを行い、これまでに見つかっていない一連の幹細胞特異的転写物を同定した。この中で、長い末端反復配列(LTR)由来の転写物が幹細胞の核トランスクリプトームの複雑性に大きく関与することを示した。LTR由来の転写物の中には、エンハンサー領域に関与するものがあり、多能性の維持に関わっている可能性がある。