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プラダー・ウィリー症候群:非コードRNA であるIPWはプラダー・ウィリー症候群の誘導多能性幹細胞モデルにおいてインプリントされたDLK1-DIO3座位を調節する
Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2968
親由来のインプリンティングは、親の由来によって差のある遺伝子発現を引き起こすエピジェネティックな調節方法の1つである。我々は、インプリンティング異常が関係する発達障害のプラダー・ウィリー症候群(PWS)について研究するために、15番染色体のPWS関連領域に明確な異常が見られる症例から誘導多能性幹細胞(iPSC)を作製した。意外なことに、PWS-iPSCおよびヒトの単為発生iPSCを解析したところ、14番染色体のインプリントされたDLK1-DIO3座位で、ほぼ全ての母親由来発現遺伝子(MEG)の大幅な上方制御が見られた。次に、IPWはPWS座位の重要な領域に存在する長鎖非コードRNAであるが、このIPWのPWSや単為発生のiPSCにおける過剰発現が、DLK1-DIO3座位のMEGの下方制御を引き起こすことを示し、IPWがDLK1-DIO3領域の調節因子であることを確定した。さらに、DLK1-DIO3領域での遺伝子発現の変化は、DNAメチル化レベルではなくクロマチン修飾に一致することを見いだした。我々の結果は、PWS表現型のあるサブセットが、PWS領域とは異なるインプリント座位の調節異常から生じるかもしれないということを示唆している。