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筋原性腫瘍:ジストロフィンはヒトの筋原性腫瘍の腫瘍抑制因子である

Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2974

ヒトで多い間葉性腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、横紋筋肉腫(RMS)、平滑筋肉腫(LMS)は筋原性の分化を特徴としている。この論文では、ジストロフィンをコードし、筋ジストロフィーに関連しているDMD遺伝子の遺伝子内欠失は、筋原性腫瘍が高悪性の致死的な肉腫に進展するための少なからぬメカニズムであることを報告する。ジストロフィンは非腫瘍性の良性型のGIST、RMS、LMS腫瘍に発現しており、DMDの欠失は427 kDaのジストロフィンを含む大きいジストロフィンのアイソフォームを不活性化するが、71 kDaの必須アイソフォームの発現は保持される。ジストロフィンは筋原性肉腫細胞の細胞移動、浸潤、足場非依存性、浸潤突起形成を抑制し、ジストロフィン不活性化は転移性GIST、胎児性RMS、LMS症例のそれぞれ96%、100%、62%で見られる。これらの所見はジストロフィンが腫瘍抑制因子であり、転移抑制因子でもあって、筋ジストロフィーの発症に対する治療は、一方でがんの治療にも関連していることを示唆している。

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