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MIRAGE症候群:SAMD9変異は、新規の全身性疾患であるMIRAGE症候群を引き起こし、7番染色体の欠失に関わる
Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3569
副腎低形成症は、まれで重篤な先天性疾患である。本論文では、新たな病型の症候性副腎低形成症の存在を示し、この疾患を「MIRAGE〔ミラージュ症候群。myelodysplasia(造血異常)、infection(易感染性)、restriction of growth(成長障害)、adrenal hypoplasia(副腎低形成)、genital phenotypes(性腺症状)、enteropathy(消化器症状)〕症候群」と呼ぶことを提唱する。エクソーム塩基配列決定およびそのフォローアップ解析を行い、副腎低形成症およびその他の共通症状を有する11人の患者がSAMD9に変異を持つことを見つけた。エンドソーム融合の促進因子であるSAMD9タンパク質の野生型を培養細胞で発現させると、その増殖が軽度に抑制された。一方、変異型の場合は強い増殖阻害が起こった。患者由来の線維芽細胞では、増殖の抑制、細胞膜におけるEGFR発現の低下、初期エンドソームの大型化、後期エンドソームのマーカーを発現する巨大な細胞内小胞の貯留が観察された。興味深いことに、骨髄異形成症候群(MDS)を発症した2人の患者では、SAMD9変異を含む7番染色体の欠失を伴っていた。変異型SAMD9タンパク質の強力な増殖抑制活性を考慮すると、7番染色体の欠失はおそらく、増殖抑制状態に対する適応として起こったものと推測される。