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小児科疾患:NANSが仲介するシアル酸合成が脳と骨格の発達に必要である

Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3578

我々は、乳児期発症の骨異形成症を伴う重症発育遅延の9人において、N-アセチルノイラミン酸(NeuNAc、すなわちシアル酸)のシンターゼをコードする遺伝子NANSの両対立遺伝子性の変異を同定した。患者の体液ではN-アセチル-D-マンノサミンレベルが上昇しており、また患者由来の繊維芽細胞ではNANS活性が低下していて、シアル酸前駆体をシアル酸付加糖タンパク質に組み込むことができなかった。ゼブラフィッシュ胚においてnansaをノックダウンすると、異常な骨格発生が引き起こされたが、この骨格表現型はシアル酸を外部から加えることで部分的に救済された。従って、NANSが仲介するシアル酸合成が早期の脳の発達や骨格の成長に必要であるといえる。NANS欠損にもかかわらず、血漿タンパク質では正常なシアル酸付加が観察された。さまざまな組織や発達段階において、シアル酸の内因性合成、栄養としての吸収、救済経路の探索を行うことが、NANS欠損に打ち克つ治療戦略の設計や、シアル酸の代謝とそのヒト栄養への関与の解明を確かなものにする。

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