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アンダマン人:アンダマン人のゲノム解析から得られた、古代人のアジアへの移動と適応についての手掛かり
Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3621
アンダマン人の南アジアへの定住やそこで認められる形態上の適応を解き明かすため、アンダマン人10人の全ゲノム配列決定を行い、民族的背景が異なるインド本土集団の60人の配列、および公開されているこれ以外の集団のデータと比較した。その結果、全てのアジアおよび太平洋集団が、単一の起源を持ち、出アフリカによる拡散を共有することが明らかになった。この結果は、集団移動には2つの別個の波が存在したという、以前の説とは矛盾していた。また、南アジアや東南アジアの集団は、絶滅した未知のヒト族に由来する祖先配列のごく一部を保持していることも分かった。この祖先配列はヨーロッパ人や東アジア人には見当たらない。アンダマン人ゲノムに認められる適応選択の形跡から、(極めて短躯であることを含めて)この集団の特徴的かつ特異な表現型は古代のアフリカ起源を反映しておらず、むしろ、体躯のサイズに関する遺伝子に働いた強い自然選択の結果であることが判明した。