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ウィルムス腫瘍:Children's Oncology GroupとTARGETイニシアチブによるウィルムス腫瘍の遺伝学的全体像の研究
Nature Genetics 49, 10 doi: 10.1038/ng.3940
117のウィルムス腫瘍についてゲノム規模の塩基配列決定を実施し、mRNAおよびmiRNAの発現解析、DNAコピー数解析、DNAメチル化解析を行った。続いて、651のウィルムス腫瘍について標的塩基配列決定を実施した。ウィルムス腫瘍との関連がすでに知られている遺伝子(WT1、CTNNB1、AMER1、DROSHA、DGCR8、XPO5、DICER1、SIX1、SIX2、MLLT1、MYCN、TP53)に加え、これまではウィルムス腫瘍での変異の頻発が知られていなかった遺伝子における変異(中でも頻度の高いものとして、BCOR、BCORL1、NONO、MAX、COL6A3、ASXL1、MAP3K4、ARID1A)が同定された。DNAコピー数の異常は、1q重複、MYCN増幅、LIN28B増幅、MIRLET7A欠失の頻発として検出された。想定外の生殖細胞系列バリアントが、PALB2、CHEK2において同定された。統合的な解析から、2つの主要なクラスの遺伝学的異常が細胞を前駆状態に維持して、正常な分化を阻害することが支持された。