Analysis

エンハンサー:ヒトの初代細胞、組織、細胞株からなる935の試料におけるエンハンサー–標的ネットワークの構築

Nature Genetics 49, 10 doi: 10.1038/ng.3950

我々は、特定の細胞や組織において転写エンハンサーの標的遺伝子を決定するための新しい方法を提案する。この方法では、多くの試料にわたって見られる全体的な傾向と試料特異的な情報を統合して、複数のエンハンサーの効果をまとめて考慮する。初めて遭遇した試料においてエンハンサーの標的遺伝子を予測する際に、我々の方法は既存の方法よりも優れていることが、独立した実験データにより検証された。我々の方法では、わずかな種類の入力データしか必要としないので、この方法をヒトの初代細胞、組織、細胞株からなる935の試料に適用して、エンハンサー–標的ネットワークを構築することができた。これは、エンハンサー–標的ネットワークのこれまでで最も大規模なセットとなる。同じ細胞や組織の系統に属するもの間では、異なる試料間でもネットワークの類似性が見られた。また、エンハンサーの共調節モードは大きく3種類に分かれることを見いだし、同時に調節が起こるモードは防御関連の遺伝子群にしばしば見られ、複数のエンハンサーに異なる転写因子が結合することにより同時調節が達成されていることが分かった。さらに、肝細胞がん(HCC)において差次的にメチル化されるエンハンサーも突き止められ、それらがHCC関連遺伝子の調節を変化させることが実験的に確認された。

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