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量的形質:日本人集団における量的形質の遺伝的解析により、細胞の種類がヒトの多因子疾患に結び付けられる

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0047-6

臨床検査値は、ヒトの多因子疾患を解明していくための有用な中間表現型と見なすことができる。本論文では、遺伝的背景についての包括的な手掛かりを得る目的で、16万2255人の日本人において、58の量的形質についてのゲノムワイド関連研究(GWAS)を行った。結果をまとめると、1407の形質に関連する座位が明らかになり(P < 5.0 × 10−8)、そのうちの679座位は新規座位であった。この日本人の結果に、多因子疾患や形質についての32のGWASの結果をさらに組み込むことで、量的形質や疾患についての多面的関連、遺伝的相関、細胞種特異性がより明確になった。また、これによって、関連する遺伝的性質や生物学的性質についての現在の理解が大きく深まった。本研究は、臨床検査値や疾患における遺伝的背景のつながりや細胞組織の特異性を同定するものである。我々の知見は、表現型間の関係についての生物学的知識があらかじめ存在しなくても、測定値が関係する疾患を臨床検査値に対応する遺伝学によってうまく捉えることができ、それにより未知の病因や発症機序の解明に寄与できることを実証している。

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