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アルドステロン症:家族性高アルドステロン症II型におけるCLCN2の塩素チャネル変異

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0048-5

原発性アルドステロン症は、重症高血圧症の一般的な原因であり、副腎ステロイドであるアルドステロンの構成的な産生を特徴とする。我々は、家族性高アルドステロンII型(FH-II)の多発家系ならびに、原因不明の早期発症型原発性アルドステロン症の発端者80人を解析した。発端者のうち8人がCLCN2の新規ヘテロ接合性バリアントを有しており、そのうち2人は新生変異、4人は同じ置換バリアントp.Arg172Glnをコードする変異を独立に持っていた。早期発症型原発性アルドステロン症を発症した血縁者は、全員が発端者と同じCLCN2のバリアントを有していた。CLCN2は副腎糸球体に発現している電位依存性塩素チャネルをコードする。このチャネルが膜電位の過分極によって開口すると、糸球体細胞は脱分極し、アルドステロン生合成の律速酵素であるアルドステロン合成酵素の発現が誘導される。変異は機能獲得性で、チャネルの機能を亢進させ、静止膜電位にある糸球体細胞での開口確率を上昇させる。これらの知見は、陰イオンチャネルが糸球体細胞の膜電位の決定、アルドステロン産生、高血圧症で果たす役割について初めて示したものである。早期発症型原発性アルドステロン症のかなりの割合の原因が本研究により説明できる。

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