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コムギ:コムギ受容体様キナーゼタンパク質Stb6は真菌病原体Zymoseptoria triticiに対する遺伝子対遺伝子抵抗性を制御する
Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0051-x
植物は急速に変化する病原体抵抗性遺伝子を備え持ち、病原体に対する最も有効な防御戦略の1つとしている。遺伝子対遺伝子関係において、クローニングされた病原体抵抗性遺伝子のほとんどは、細胞質内に存在し、ヌクレオチド結合部位を持つロイシンが豊富なタンパク質(NLR;nucleotide-binding leucine-rich-repeat protein)をコードしている。このタンパク質は、病原体が宿主の細胞質内に分泌する病原体分離株特異的な非病原性エフェクター(Avr)を認識する。この過程でしばしば局所的な過敏感反応が誘起され、それにより病気の進行が抑えられる。今回我々は、コムギStb6遺伝子のマップベースクローニングについて報告するとともに、この遺伝子が保存された受容体キナーゼである細胞壁結合型キナーゼ(WAK;wall-associated receptor kinase)様のタンパク質をコードしており、そのタンパク質が対応するアポプラスト内のエフェクターの存在を感知し、過敏感反応を誘起することなく病原体への抵抗性を付与することを示す。本報告は、植物において、遺伝子対遺伝子の病害抵抗性がこの種のタンパク質によって制御されている例を示すものである。さらに、Zymoseptoria tritici〔コムギに感染してseptoria tritici葉枯病(STB)を発症させ経済的な被害をもたらす、病害防除上重要な葉面菌類病原体〕に対する抵抗性が明らかとなっている遺伝子がクローニングされたのは、我々が知る限りStb6が初めてである。