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母性効果:マウスの母体肥満によって引き起こされる胎仔の異常は卵母細胞におけるStellaの不足を原因とする

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0055-6

母体肥満は胚の発育や産児の健康を損なう可能性があるが、その機序はいまだ十分に理解されていない。高脂肪食餌を与えた雌の肥満モデルマウスでは、卵母細胞中のStella(別名DPPA3あるいはPGC7)タンパク質の量が激減していることを明らかにした。この手掛かりを皮切りに、肥満マウス由来の受精卵では前核における非対称なエピジェネティックなゲノム修飾の確立が大幅に損なわれていること、そして雌性前核において5-ヒドロキシメチルシトシン修飾やDNAの損傷の集積が引き起こされていることを見つけた。さらに、メチローム規模の配列決定解析を行い、HFDマウスの受精卵ゲノム全体にわたる低メチル化を検出した。このとき、低メチル化は、トランスポゾン配列やユニークな領域に特異的に多く見つかった。注目すべきことに、HFDマウスの卵母細胞でStellaを過剰発現させると、受精卵におけるエピジェネティック再構築が元の状態に戻るだけでなく、母体肥満に伴う初期胚の発生異常や胎仔の発育異常が回復した。従って、卵母細胞におけるStellaの不足は、母体肥満が胚や仔の表現型に及ぼす影響を介在する重要な機序であると考えられる。

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