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腎代謝:尿中代謝物の遺伝学的研究から、ヒトにおける解毒と排泄の機構が明らかになる

Nature Genetics 52, 2 doi: 10.1038/s41588-019-0567-8

腎臓は、代謝物の吸収、分布、代謝、排泄(ADME)に関係する全身の絶え間ない過程からの情報を統合する役割を担う。その基盤となる分子機構を明らかにするために、腎機能が低下した患者1627人において、1172の代謝物の尿中濃度についてのゲノムワイド関連解析を行った。代謝物-座位間に見られる特有の関連(代謝物の量的形質座位、mQTL)を240種類特定し、追試を行った。その結果、輸送タンパク質の新しい候補基質を明らかにすることができた。ここで見つかった遺伝子は、ADME関連の組織や細胞種に豊富に見られ、生体内変換反応や解毒反応の新しい候補が明らかになった。mQTLのファインマッピングと一細胞遺伝子発現との統合により、原因遺伝子、機能的バリアント、標的細胞種の優先順位付けが可能になった。mQTLを、英国バイオバンクの450,000人の参加者から得られた遺伝情報および健康情報と組み合わせることで、代謝メディエーター、つまり疾患リスクの新規尿中バイオマーカーが明らかになった。この遺伝学的標的とその基質についての包括的なリソースは、ヒトのADME過程の研究に有用であり、基礎科学、臨床医学、薬学研究に利用することができる。

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