遺伝学:アフリカ系女性の乳がんリスクに関連する遺伝的バリアントが特定された
Genetics: Genetic variants for breast cancer risk in women of African ancestry identified
doi: 10.1038/s41588-024-01736-4
表紙は、分子遺伝学の講義でスリップ構造のDNAを説明するときに、しばしば例えとして使用される図だ。ワトソン–クリック型の塩基対を形成するDNAの二本鎖は、ジッパーに例えられるのである。通常は、ジッパーの「歯」はピタリと組み合わさるが、DNAの反復配列の部位では、歯がズレて並んでしまうことが起きる。その結果、ジッパーがかみ合わない箇所ができて、スリップ構造が生じてしまう。病気の原因となるCAG/CTGの反復配列部位に、このようにしてスリップ構造が生じると、次に、誤ったDNA修復が行われ、反復配列の変異が作り出されてしまう。この現象は、ハンチントン病など、少なくとも17の神経変性および神経筋疾患の原因となることが知られている。影響を受けた組織では反復配列の伸長が進み、それが病気の発症、進行、重症化に影響する。体細胞での反復配列の伸長を抑えたり、元に戻したりできれば、病気の発症、進行、重症化を抑えたり、回復させたりでき得る。今回、ハンチントン病のモデルマウスを用いて、反復配列の伸長過程を標的にスリップ構造特異的に結合する小分子を作用させた。すると、ハンチントン病患者の脳の線条体の、病気の影響を受けやすい領域の細胞において、伸長した反復配列の短縮を引き起こすことができたのである。つまり、この治療法は、疾患の原因である反復配列の伸長を元に戻すことができるのだ。
参照論文:Nakamori et al.
画像:Christopher Pearson
表紙デザイン:Erin Dewalt
doi: 10.1038/s41588-024-01736-4
doi: 10.1038/s41588-023-01563-z
doi: 10.1038/s41588-020-0585-6
doi: 10.1038/s41588-020-0577-6
doi: 10.1038/s41588-019-0568-7
doi: 10.1038/s41588-019-0575-8
doi: 10.1038/s41588-019-0556-y
doi: 10.1038/s41588-019-0567-8
doi: 10.1038/s41588-019-0569-6
doi: 10.1038/s41588-019-0541-5
doi: 10.1038/s41588-019-0554-0
doi: 10.1038/s41588-019-0572-y
doi: 10.1038/s41588-019-0574-9
doi: 10.1038/s41588-019-0566-9