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神経発達症候群:SPTBN1の病的バリアントは常染色体優性神経発達症候群を引き起こす

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00886-z

SPTBN1はβIIスペクトリンをコードし、このβスペクトリンは普遍的に発現しており、細胞膜に結合したマイクロメートル規模のネットワークを形成する。ニューロンでβIIスペクトリンを欠失したマウスでは、大脳皮質構造化の異常や、発達遅延、行動異常が見られる。これらの表現型は、それほど重症ではないが、ハプロ不全個体で見られることから、ヘテロ接合のSPTBN1バリアントを持つ個体も、神経発生と神経機能に測定可能な異常を示す可能性が示唆される。今回我々は、SPTBN1バリアントをヘテロ接合で持ち、発達、言語、運動の遅延を示す29人を見いだした。すなわち、軽度から重度の知的障害、自閉症の特徴、てんかん発作、行動や運動の異常、筋緊張低下、多様な顔面異形症の特徴が見られた。我々は、これらのSPTBN1バリアントが、βIIスペクトリン安定性への有害な影響をもたらし、主要な分子パートナーへの結合を阻害して、細胞骨格の構造化と動態を妨げることを示す。我々の研究は、SPTBN1バリアントが神経発達症候群の遺伝的な基盤をなすことを明らかにし、脳に影響を与えるスペクトリノパチーのセットを拡大し、また、中枢神経系におけるβIIスペクトリンの重要な役割を示すものである。

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