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低酸素誘導因子:HIF複合体はヒストンメチルトランスフェラーゼSET1Bを誘導して、特定の低酸素誘導遺伝子を活性化する

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00887-y

低酸素誘導転写因子(HIF)は、細胞が低い酸素レベルに適応するときに中心的な働きをするが、HIFがクロマチンと相互作用して、標的遺伝子を活性化する仕組みは分かっていない。本論文では、ゲノム規模の突然変異誘発を用いて、HIFの転写活性に関与する遺伝子を特定することで、ヒストンH3リシン4(H3K4)メチルトランスフェラーゼであるSET1Bを必要とすることを明らかにした。SET1Bの喪失は、HIF標的遺伝子の転写活性化の選択的な低下につながり、SET1B欠損異種移植片における細胞増殖、血管新生、腫瘍確立の低下を引き起こした。我々は、SET1Bは低酸素状態でクロマチンに蓄積し、HIF複合体によってHIF標的遺伝子に誘導されるという機構を明らかにした。HIF標的座位でのH3K4トリメチル化の選択的な誘導は、HIFとSET1Bの両方に依存していて、このどちらの障害も、プロモーターのアセチル化の減少および遺伝子発現の低下と相関した。総合的にこれらの知見は、SET1Bが部位特異的なヒストンメチル化の決定因子であることを示していて、HIF標的遺伝子が異なる調節を受ける仕組みについての手掛かりになる。

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