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オルガノイド:ヒト成人腎臓からのオルガノイドはCD24+細胞由来であり、成人の多発性嚢胞腎の進歩したモデルである
Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01202-z
成人腎臓からのオルガノイドは、もっぱら尿細管上皮であると報告されており、チューブロイド(tubuloid)と呼ばれている。チューブロイドの細胞起源はよく分かっていないが、本論文では、CD24+により明確に区別できる上皮亜集団にチューブロイドが由来することを報告する。長期培養されたCD24+細胞由来チューブロイドは、ヒト腎臓の機能的な尿細管である。腎臓チューブロイドを用いて、最も一般的な遺伝性腎疾患、すなわち常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)をモデル化すると、この疾患の嚢胞形成を伴う表現型の特徴を再構築できることが分かった。CRISPR–Cas9により遺伝子編集されたPKD1やPKD2のノックアウトチューブロイドと、ヒトADPKDおよび対照組織の一細胞RNA塩基配列決定から、疾患を促進する遺伝子群の発現上昇に類似性があることが分かった。さらに、概念実証において、ADPKDの唯一の承認薬であるトルバプタンが、チューブロイドの嚢胞のサイズに有意な効果を示すが、多能性幹細胞由来モデルでは効果を示さないことが確かめられた。従って、チューブロイドは尿細管上皮細胞亜集団に由来し、ADPKDの疾患をモデル化する最先端の系である。