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転写制御:RNAのm6AはDNAの脱メチル化とクロマチン接近性を介して転写を調節する
Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01173-1
転写調節はクロマチン接近性、転写因子、エピジェネティック修飾を統合するので、細胞アイデンティティーの確立と維持に決定的に重要である。しかし、さまざまなエピジェネティック修飾間の相互作用と、それらの相互作用の転写調節への関与については明らかにするのが難しい。今回我々は、METTL3を介したRNA N6-メチルアデノシン(m6A)の形成は、正常細胞とがん細胞において近傍ゲノム座位でDNA脱メチル化を引き起こし、これはm6AリーダーであるFXR1とDNA 5-メチルシトシンジオキシゲナーゼTET1の間の相互作用を介して行われることを示す。FXR1がRNA m6Aを認識すると、TET1をゲノム座位に誘導してDNAを脱メチル化し、クロマチン接近性と遺伝子転写の再プログラム化を引き起こす。以上の結果により、DNA脱メチル化と共役したRNA m6A形成を介したクロマチン接近性と遺伝子転写の調節機構の特性が明らかになり、生理学的過程と病理学的過程におけるRNA m6AとDNA修飾の間のクロストークの重要性が示された。