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脂肪代謝:ホスホリパーゼPLAAT3の喪失はPPARγシグナル伝達の障害によりリポジストロフィーと神経学的症状の混合した症候群を引き起こす

Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01535-3

ホスホリパーゼA/アシルトランスフェラーゼ3(PLAAT3)は、主に神経組織と白色脂肪組織(WAT)に発現するリン脂質修飾酵素である。マウスでPlaat3を欠損させると、食餌に誘導される肥満が防止されるため、PLAAT3はメタボリックシンドロームの有望な薬剤標的となっている。本論文では、血縁関係のない4つの近親婚家系からの7人の患者が、PLAAT3の機能喪失バリアントをホモ接合で持つことを明らかにした。これらの患者は、部分的から全身的までさまざまな脂肪減少が見られるリポジストロフィー(脂肪異栄養)を示し、代謝合併症を伴うことに加え、脱髄性ニューロパチーや知的障害などのさまざまな神経学的特徴を呈する。マウスPlaat3−/−および患者由来WATのマルチオミクス解析から、アラキドン酸を含む膜リン脂質が過剰に蓄積し、脂肪細胞分化のマスター調節因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)シグナル伝達が大幅に低下することが示された。そのため、ヒト脂肪幹細胞においてCRISPR-Cas9によりPLAAT3を不活化すると、インスリン抵抗性が誘導され、脂肪細胞の分化が変化して脂肪滴の形成が減少し、PPARγなどの脂肪形成や成熟脂肪細胞のマーカーの発現が低下した。これらの知見は、PLAAT3欠損により、WATの分化および機能においてPPARγ依存的な異常が引き起こされることで、神経学的症状を伴う遺伝性のリポジストロフィー症候群が生じることを確立している。

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