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子宮内膜症:子宮内膜症の一細胞トランスクリプトーム解析
Nature Genetics 55, 2 doi: 10.1038/s41588-022-01254-1
子宮内膜症は女性に一般的に見られる疾患で、慢性疼痛や不妊の原因となり、卵巣がんのリスク上昇とも関連している。我々は、子宮内膜腫(n = 8)、子宮内膜症(n = 28)、正所性子宮内膜(n = 10)、罹患していない卵巣(n = 4)、子宮内膜症のない腹膜(n = 4)から採取した37万個以上の細胞についてトランスクリプトームプロファイリングを行い、組織部位全体にわたり、子宮内膜型の上皮細胞、間質細胞、微小環境細胞集団の細胞アトラスを作製した。子宮内膜型の上皮細胞と間質細胞の細胞シグネチャーと分子シグネチャーは、組織のタイプで異なっていたことから、子宮内膜症での細胞再構築や転写再プログラム化に対する役割を担っていることが示唆される。子宮内膜症の上皮細胞、間質細胞、近位中皮細胞では、炎症性経路の調節異常と補体タンパク質の発現上昇が見られた。上皮細胞でのARID1Aの体細胞変異は、血管新生促進因子とリンパ管形成促進因子の発現上昇や、内皮細胞区画のリモデリングと関連しており、リンパ管内皮細胞の増加を伴う。繊毛上皮細胞のシグネチャーは、卵巣がんで豊富に見られることから、これらの2つの疾患の疫学的関連性が強固になった。