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トマト:トマトスーパーパンゲノムの解析により野生種と栽培種におけるゲノム多様性と構造バリアントが浮き彫りになる

Nature Genetics 55, 5 doi: 10.1038/s41588-023-01340-y

遺伝的基盤が貧弱な栽培トマトの遺伝的品種改良においては、野生種の効果的利用が課題克服のカギとなる。しかし、野生種トマトの高品質ゲノムを得るためのゲノム解読の努力は十分とは言えない。我々は、Solanum(ナス)属Lycopersicon(トマト)クレードを代表する野生種トマト9種および栽培種トマト2品種のアクセッションから、染色体規模のトマトゲノムを構築した。既に報告されている2つのゲノム情報と合わせ、トマトクレードの系統関係を明らかにし、これらのトマトクレード全体にまたがる遺伝子レパートリーを構築した。構造バリアントの全体像を明らかにして野生種トマトが持つゲノム多様性の解析への足掛かりを築いたことにより、現代の栽培トマトの産生向上につながる可能性のある野生種トマトの遺伝子の発見が可能になった。構造バリアントを含むゲノム多様性の情報を包含するグラフ構造を持つゲノムの構築により、構造バリアントに基づくゲノムワイド関連解析が可能となり、トマトの風味に関する形質や果実の代謝に関連するシグナルを多数特定することが可能になる。トマトのスーパーパンゲノムの情報資源により、この世界的に重要な作物の生物学研究および育種が加速されるだろう。

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