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リンパ芽球性白血病:BCR-ABL1リンパ芽球性白血病のトランスクリプトームのサブクラス
Nature Genetics 55, 7 doi: 10.1038/s41588-023-01429-4
BCR-ABL1リンパ芽球性白血病において、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療に対する不均一性について、特にBCR-ABL1のキナーゼドメインに変異がない場合については、ほとんど理解が進んでいない。今回我々は、詳細な分子プロファイリングを行い、BCR-ABL1リンパ芽球性白血病のトランスクリプトームには3つのサブタイプがあり、それぞれがB細胞前駆細胞の分化段階で成熟を停止していることを明らかにした。早期の停止は、細胞系譜の混乱、治療不応性、患者の転帰不良と関連していた。一方、後期の停止は、細胞系譜に対する忠実さ、白血病の持続的寛解、患者の良好な転帰と関連していた。それぞれの成熟の停止は、B細胞の発生過程での異なる移行点を制御する特異的なゲノム事象によって特徴付けられる。興味深いことに、これらの事象は、サブタイプにかかわらず、患者から単離したBCR-ABL1+前白血病幹細胞では見られないので、トランスクリプトーム表現型が白血病イニシエーション事象の下流で決定されることが支持される。まとめると我々のデータは、治療応答とTKI有効性は、このような白血病の形質転換が起こる分化段階の予期せぬ結果であることを示している。