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ブタ:ブタの各組織における遺伝子発現調節がもたらす影響の概要
Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01585-7
FarmGTEx(Farm Animal Genotype-Tissue Expression)プロジェクトは、家畜の遺伝子発現調節に関わるバリアントについての公的なリソース(情報資源)を開発するために設立された。このリソースは、表現型の多様性と遺伝的多型を結び付けるのに不可欠であり、基礎的な生物学的発見や、動物の育種、ヒトの生物医学分野への活用に役立つ。ここでは、品質管理されたブタの5457のRNA塩基配列決定試料と1602の全ゲノム塩基配列決定試料を処理することで得られたPigGTExの試験段階の結果を示す。我々はブタの遺伝子型インピュテーションパネルを構築し、34の組織における何百万もの遺伝的変異と、トランスクリプトームに基づく5種類の表現型を関連付けることができた。また、マルチオミクスデータを用いて、遺伝子発現調節がもたらす影響の組織特異性を評価し、その作用の分子メカニズムを明らかにした。このリソースを活用することによって、ブタにおける207種類の複雑な表現型の根底にある調節メカニズムを解読した。また、複雑な表現型の背後にある遺伝子発現や遺伝子発現調節について、ブタとヒトの間で類似性が見られることが実証された。このことは、ヒトの生物医学モデルとしてのブタの重要性を裏付けている。