Article

バナナ:三倍体栽培バナナゲノムの起源と進化

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01589-3

生鮮バナナのほとんどはキャベンディッシュ品種とグロスミチェル品種というサブグループに属している。本論文で我々は、キャベンディッシュ品種(1.48 Gb)とグロスミチェル品種(1.33 Gb)の染色体スケールのゲノムをアセンブリし、Ban、Dh、Zeの3つのサブゲノムを定義した。サブゲノムの主たる祖先種はそれぞれ、マレーヤマバショウMusa acuminataの亜種banksiimalaccensiszebrinaである。フザリウム属真菌Fusarium oxysporum f. sp. cubenseFoc)のトロピカルレース4(TR4)という病原体に対する抵抗性遺伝子RGA2(resistance gene analog 2)のプロモーター領域には、ほとんどの二倍体バナナと三倍体バナナで反復配列の挿入が見られた。また、受容体様たんぱく質(RLP)の遺伝子座に含まれるFocのレース1(R1)病原体に対する抵抗性遺伝子が、グロスミチェル品種のZeサブゲノムには存在しないことが分かった。我々はまた、果実特異的に高発現する2つのNAP(apetala3やpistillataにより活性化されるNAC様タンパク質)転写因子ホモログを同定し、それらが多くの果実成熟遺伝子のプロモーターに直接結合することを明らかにし、果実の成熟において中心的役割を担う調節遺伝子である可能性を示した。本ゲノムデータにより、バナナにおける育種とさらなる品種改良(スーパードメスティケーション)が促進されるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度