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肺がん:肺腫瘍進化とがん標的治療抵抗性におけるAPOBEC3Bの役割

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01592-8

本研究では、上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺がんに対するAPOBEC(apolipoprotein B mRNA-editing catalytic subunit-like)酵素APOBEC3B(A3B)の影響を評価した。EGFR変異型(EGFRmut)の非小細胞肺がん(NSCLC)マウスモデルでは、A3Bの発現は腫瘍形成を抑制するが、EGFR阻害薬で治療した腫瘍では、A3Bの発現は治療抵抗性と関連していた。EGFR標的治療を行ったヒトNSCLCモデルの解析では、A3Bの発現が上昇し、これは治療によって誘導されるNF-κB(nuclear factor kappa B)の活性化が、A3B発現をもたらす要因の1つであることを明らかにした。標的治療を受けたヒトNSCLC前臨床モデルでは、A3Bの欠損により生存能力の著しい低下が観察され、A3Bは、APOBEC変異シグネチャーの増加に必要であった。また、EGFR標的治療を受けたNSCLC患者においても、A3Bの発現上昇が確認された。この研究では、NSCLCにおけるA3Bの多面的な役割が明らかになり、A3Bががん標的治療に対してより持続的な効果をもたらす有望な標的であることが分かった。

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