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ADHD:注意欠如・多動性障害の臨床的不均一性を多遺伝子プロファイルの側面から定義する
Nature Genetics 56, 2 doi: 10.1038/s41588-023-01593-7
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、長期予後や臨床像が多様な複雑な障害である。このような多様性への遺伝要因の寄与はよく分かっていない。ここでは、ADHDと診断された1万4084人を対象とした症例のみの研究において、その臨床的不均一性に関与するいくつかの遺伝要因を示す。まず、ADHDに自閉スペクトラム症(ASD)が併存している症例を、ASDのないADHD症例と比較することで、ゲノムワイドで有意な座位を1つ特定した。次に、ADHDにASDまたは物質使用障害が併存している症例、あるいは成人後にADHDと診断された症例は、それ以外の症例群や対照群とは区別される特徴的な多遺伝子スコア(PGS)プロファイルを有していた。さらに、ADHD症例に対してASDを診断するためのPGSを独立した発達コホートで用いると、認知能力を予測できた。我々の手法は、ADHDの遺伝的不均一性の科学的根拠を明らかにし、その病因機序の理解に役立つと同時に、他の疾患を研究する際のモデルとなるものである。