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トウモロコシ:ZmWAKL–ZmWIK–ZmBLK1–ZmRBOH4モジュールによるトウモロコシ斑点病に対する量的抵抗性

Nature Genetics 56, 2 doi: 10.1038/s41588-023-01644-z

トウモロコシ斑点病(GLS)は、真菌病原体であるCercospora zeae-maydisあるいはCercospora zeinaによって引き起こされ、世界的に見てもトウモロコシ(Zea mays L.)の葉に発生する病気の多くを占める。本論文で我々は、細胞壁結合受容体様キナーゼをコードする遺伝子ZmWAKLが、斑点病への抵抗性に関する主要な量的形質座位の原因遺伝子であることを示す。抵抗性対立遺伝子にコードされたZmWAKLYタンパク質は自己会合し、ロイシンリッチリピートを持つ細胞膜局在性免疫関連キナーゼZmWIKと相互作用する。ZmWAKLY/ZmWIK受容体複合体は、受容体様細胞質キナーゼ(RLCK)であるZmBLK1と相互作用してリン酸化し、リン酸化されたZmBLK1は反応経路の下流で作用するNADPH酸化酵素ZmRBOH4をリン酸化する。病原体が感染すると、ZmWAKLYのリン酸化活性が一過性に上昇し、免疫応答シグナル伝達反応が開始されてZmWAKLYからZmWIK、ZmBLK1、ZmRBOH4へと伝達され、最終的に急激な活性酸素種の生成(ROSバースト)を引き起こす。以上のように本研究は、病原体の侵入の感知に始まり、免疫応答シグナルの変換を経て防御反応を発動することにより、斑点病に対する抵抗性を高めるという、トウモロコシの一連の免疫応答反応におけるZmWAKL–ZmWIK–ZmBLK1–ZmRBOH4受容体–シグナル伝達–免疫応答発動モジュールの役割を明らかにするものである。

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