Article

ハンチントン病:ヒトの線条体および小脳における細胞タイプ特異的なCAGリピート伸長と変異型ハンチンチンの毒性

Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-024-01653-6

脳領域に見られる特異的な変性や、体細胞での変異型ハンチンチン(mHTT)CAG鎖の伸長は、ハンチントン病(HD)の重要な特徴である。しかし、CAGの伸長、特定の細胞タイプの死、そしてこれらの過程に関連した分子事象の間の関係は明確には解明されていない。本論文では、蛍光活性化核ソーティング(FANS)と詳細な分子プロファイリングを用いて、HDと対照のドナーにおいてヒトの線条体および小脳の細胞タイプの特性に関する知見を得た。CAGの伸長は、線条体の中型有棘ニューロン(MSN)、コリン作動性介在ニューロン、小脳プルキンエニューロンのmHTTにおいて、および脊髄小脳変性症3型(SCA3)のドナーのMSNの変異型ATXN3において生じていた。MSNにおけるCAGの伸長は、MSH2およびMSH3(MutSβを形成する)のレベルが高いことと関連しており、これは、CAGのスリップアウト構造がFAN1による核酸分解で除去されるのを抑制し得る。我々のデータは、CAGの伸長は細胞死を起こすのに必要であるが、十分ではない可能性があるというモデルを裏付けており、また、体細胞でのCAGの伸長と線条体に対する毒性に関連する転写変化を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度