Article 糖尿病:浸潤性マクロファージでの内在性カンナビノイドによるNlrp3インフラマソーム活性化は、2型糖尿病におけるベータ細胞消失に関わっている 2013年9月1日 Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3265 2型糖尿病(T2DM)は、インスリン抵抗性に対する代償性インスリン過剰分泌から始まってベータ細胞の機能障害へと進行し、その結果としてベータ細胞機能が代償されない高血糖症が引き起こされる。この過程はズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットで再現される。Nlrp3インフラマソームは、肥満が誘発するインスリン耐性やベータ細胞障害に関与するとされてきた。内在性カンナビノイドは、末梢性CB1受容体(CB1R)群の活性化を介してインスリン耐性の一因となり、ベータ細胞障害も促進する。本研究では、成体ZDFラットでのベータ細胞障害は、ベータ細胞内でのCB1Rシグナル伝達ではなく、膵島へ浸潤するM1マクロファージ内で起こるCB1Rシグナル伝達と関連しており、このようなマクロファージではNlrp3-ASCインフラマソーム活性化が引き起こされることを示す。in vitroでは、こうした影響は野生型のヒトあるいは齧歯類のマクロファージに内在性カンナビノイドであるアナンダミドを加えて培養すると再現されるが、CB1R欠損(Cnr1−/−)、あるいはNlrp3−/−マウスのマクロファージでは再現されない。末梢性CB1Rの阻害や、in vivoでのマクロファージ枯渇、またCB1Rのマクロファージ特異的ノックダウンは、このような変化を解消あるいは防止して、正常な血糖値やグルコース誘導性のインスリン分泌が回復される。以上の結果は、ベータ細胞障害に内在性カンナビノイドとインフラマソーム活性化が関与していることを示しており、マクロファージが発現するCB1RがT2DMでの治療標的となることを明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る