Perspective
GPCRネットワーク:ヒトのGPCR構造と機能を特定するための大規模な共同研究
Nature Reviews Drug Discovery 12, 1 doi: 10.1038/nrd3859
市販医薬品の約30-40%はGタンパク質共役受容体(GPCRs)を標的としている。Gタンパク質共役受容体は正常な生理機能や疾患に中心的な役割を果たしており、その構造や機能の理解は基礎科学や創薬の双方に携わる研究者にとって重要であることを示唆している。しかし、最近まで、このタンパク質ファミリーの構造についての詳細は、膜タンパク質のX線結晶解析から得られる情報に限られていた。GPCRネットワークは、GPCRの構造、化学あるいは生物学に関心を持つ科学者らが提唱し、分野を超えた活動プログラムに基づき2010年に設立された。その目的はヒトのGPCRのなかでも代表的な15-25個について、今後5年以内にその構造を同定することである。本稿では、この共同研究がこれまでにどのようにして8個のGPCRの構造を同定し、機能を特定してきたについて述べ、この受容体スーパーファミリーの構造と機能の相関について、さらに深く理解しようとする数々の試みを紹介する。