Review Article
治療目的に、長鎖非コードRNAを標的として遺伝子発現を上方制御する
Nature Reviews Drug Discovery 12, 6 doi: 10.1038/nrd4018
現在利用できる薬や研究ツールとしての化合物の大部分は、抑制性の作用機構を示し、治療目的でエフェクターまたは経路の活性を増大させることのできる医薬品は相対的に欠如している。実際には、腫瘍抑制因子、増殖因子、転写因子およびさまざまな遺伝性疾患において欠損している遺伝子群を含め、多数の遺伝子の発現量を上方制御することが、特定の状況で切望されている。最近、調節作用を持つ長鎖非コードRNA(lncRNA)が、遺伝子発現の調節において果たす重要な役割が明らかになってきた。lncRNAは、遺伝子発現やクロマチン構築の正の調節あるいは負の調節を行うことができる。今回我々は、lncRNAの作用機構および疾患におけるlncRNAの役割に関する現在の知識を再検討し、lncRNAsの1種である天然アンチセンス転写産物(natural antisense transcript:NAT)の阻害剤を設計する最近の研究と、こうしたアンタゴNATオリゴヌクレオチド(antagoNAT oligonucleotides)として知られている阻害剤を治療に適用する際に生じる諸問題に焦点を合わせて解説する。