Perspective

細胞を用いた疾患モデルから不適切なものを排除する

Nature Reviews Drug Discovery 15, 11 doi: 10.1038/nrd.2016.175

前臨床段階で有望視された薬剤候補が臨床的成功に至らずに終わることがありふれた事態として続けて起こるようになり、現在創薬に用いられている疾患モデルの有効性が限定的なものであることが明確に示されている。トランスレーショナルリサーチが結果を生まない原因としては、新しい細胞や組織を用いたモデル系の模索、採用に消極的な姿勢があるように思われることに加え、分析法の検証に臨床実務が反映されていないことを挙げることができる。こうした問題に取り組み、議論を活発にする一助とするため、本論文では、疾患に関連する分析法の定義と開発を促進する一連の原理を提唱し、創薬に利用できる細胞を用いた分析法技術の最新の研究成果、例えば、人工多能性幹細胞、三次元(3D)共培養、臓器チップとそれを補完する単一細胞画像化技術と遺伝子編集技術について論じる。基礎研究段階における競合他社間の学際的共同研究によって前臨床モデルや細胞を用いたスクリーニング技術の新たな開発を目指す動きを支援する助成金交付は、その臨床的関連性を高める上で重要な役割を果たし、究極的には臨床的成功率を上昇させる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度