Perspective
抗血管内細胞皮増殖因子療法の10年
Nature Reviews Drug Discovery 15, 6 doi: 10.1038/nrd.2015.17
血管内皮細胞増殖因子A(VEGFA)は、正常な血管新生と病的な血管新生の双方の極めて重要な調節因子として作用するが、これを標的とすることが腫瘍科と眼科の領域で革新的な治療法となった。初めてのVEGFA阻害薬である「ベバシズマブ」は、遠隔転移を有する大腸がん治療の第一選択薬として米国食品医薬品局によって2004年に承認され、初めての眼科領域のVEGFA阻害薬である「ペガプタニブ」と「ラニビズマブ」は、それぞれ2004年と2006年に承認された。抗VEGFA療法が10年を迎えるのを機に、本論文では、VEGFAの発見、VEGFA阻害薬の開発における成功例と諸課題、そして、がんと眼疾患の治療に対するVEGFA阻害薬のインパクトについて述べる。