Review Article
完璧なインスリンの追求
Nature Reviews Drug Discovery 15, 6 doi: 10.1038/nrd.2015.36
インスリンは糖尿病の治療に欠かせないが、その治療指数の狭さのために使用が妨げられている。ペプチド化学および組換えDNA技術を利用した高分子合成が進歩したため、構造の最適化されたインスリンアナログを合成できるようになったが、肥満と糖尿病の蔓延が深刻化しており、より効果があって安全かつ簡便な糖尿病治療法の必要性が浮き彫りになっている。このため、高血糖に加えて他の疾患異常も標的とした一連の広範な新薬候補の臨床開発が現在進行中である。グルコース濃度に反応するインスリン治療薬の開発が依然として究極の目標で、最初のプロトタイプ薬物が現在、概念証明段階に到達しつつある。それと同時に、注射送達に代わる最初の投与法が承認段階に進んでいる。