Review Article
この20年間にフラグメントが創薬に与えた影響
Nature Reviews Drug Discovery 15, 9 doi: 10.1038/nrd.2016.109
フラグメント・ベースド・ドラッグ・ディスカバリー(FBDD)は、成長が穏やかだった時期もあったが、その導入から20年を経て主流の手法となった。この20年間で、フラグメント由来の薬物候補30点以上が臨床試験段階に入った。そのうち2点は承認薬となり、他にも数点について後期臨床試験が行われている。FBDDは、産学での研究に幅広く適用されており、その証拠に大学、非営利研究機関、バイオテクノロジー会社と製薬会社が多数の論文を発表している。また、FBDDには、生化学や生物物理学から計算化学や医薬品化学に至る多様な研究分野が利用されている。FBDD法への期待が次第に実現されてきているため、今こそが教訓を導き出し、将来への方向性を示す良い機会である。本総説では、フラグメントライブラリーの設計方法、スクリーニング技術の選択方法、それらによって収集された情報を最大限利用するための方法について手短に論じ、FBDDに基づく諸概念がどのように創薬活動に浸透して、その充実をもたらしたのかを明らかにする。