Review Article

繊維芽細胞と繊維症を標的とする新しい心臓病治療法

Nature Reviews Drug Discovery 15, 9 doi: 10.1038/nrd.2016.89

心臓繊維芽細胞の機能に関する我々の理解は、心臓の構造と細胞外マトリックスの生成における役割にとどまらず、パラ分泌、個体発生時の機械的シグナル伝達と電気的シグナル伝達と正常な心臓活動に対する寄与まで進んでいる。繊維芽細胞は、心筋虚血、高血圧、心不全の発生時の病理的な心臓リモデリングにおいて中心的な役割を担っている。また、繊維芽細胞は、瘢痕形成に重要な寄与をするため、外科手術や切除などの介入後の組織修復にとって非常に重要である。心臓繊維芽細胞を標的とする新しい実験的手法は、心臓病の治療法となり得るものとして有望視されている。実際、いくつかの既存の薬剤は、心臓結合組織に影響を及ぼすことで少なくとも部分的に作用する。本総説では、心臓の発生、心臓の恒常性と心臓病における繊維芽細胞の起源と役割を概説し、現行の臨床介入と新しい臨床介入における繊維芽細胞の関与を説明し、今後の研究開発の目標を明らかにする。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度