Review Article
疾患における小胞体ストレスの薬理学的標的化
Nature Reviews Drug Discovery 21, 2 doi: 10.1038/s41573-021-00320-3
小胞体に誤って折りたたまれたタンパク質が蓄積すると、小胞体ストレスが引き起こされ、小胞体ストレス応答(UPR)の活性化につながる。UPRの目的は、タンパク質の恒常性を回復させることである。しかしUPRは、代謝疾患、がん、神経疾患など多くの疾患で重要な病理学的役割も果たしている。過去10年間にわたり、UPRに関与するシグナル伝達タンパク質を標的とする研究に多大な努力が費やされており、現在では、一連のドラッグライクな分子が利用可能となっている。けれども、これらの分子には限界があり、治療法として開発するためにはそうした限界を理解することが重要である。本総説では、小胞体ストレスおよびUPRを標的とした既存のドラッグライクな分子について批評的に概説し、それらの価値とそれらの限界の両方を明らかにする。