Review Article
脂質生合成阻害剤:治療薬開発の機会と課題
Nature Reviews Drug Discovery 21, 4 doi: 10.1038/s41573-021-00367-2
脂肪酸は、生存に必須であり、生体エネルギー基質、構造成分、シグナル伝達分子として作用する。脂肪酸は重要な役割を果たすため、細胞はde novo脂質生合成(DNL)という過程を通して、代替炭素源から脂肪酸を合成する機構を進化させてきた。DNLは、重要であるにもかかわらず、その異常な上方調節はさまざまな病態と関連している。DNLの中心的な酵素であるクエン酸/イソクエン酸担体(CIC)、ATP-クエン酸リアーゼ(ACLY)、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、脂肪酸合成酵素(FAS)などを阻害することが、治療戦略として注目を集めている。いくつかの新しいクラスの合成DNL阻害剤は、有効性、選択性および安全性の点で課題があるものの、開発が臨床試験段階に入り、新しいクラスの治療薬の基礎となる可能性がある。