メニエール病
Meniere's disease
2016年5月12日 Nature Reviews Disease Primers Article number: 16028 (2016) doi: 10.1038/nrdp.2016.28
メニエール病(MD)は内耳疾患の1つで、めまい発作、変動性難聴、耳鳴、耳閉感などの原因になる。MDの発症には多くの因子が関わっている。MDの特徴的兆候である内リンパ水腫(EH)は内リンパ液が内耳に過剰に蓄積する障害で、神経節細胞の損傷を起こす。内リンパ液の蓄積が多くなるとほとんどのMD患者に臨床症状が現れる。しかし、早期EHの段階で症状が現れる患者も存在する。この様に症状の現れ方にばらつきがある理由は不明であり、EHとMDの臨床症状との関連についてはさらなる研究が必要である。MDの診断は臨床症状に基づいて行われるが、聴力検査、前庭誘発筋電図検査、温度眼振検査、蝸電図検査、ヘッドインパルス検査などの内耳機能検査によって補完することがある。蝸牛管、前庭階および半規管におけるEHを直接的に視覚化するためにMRIは最適化されており、その活用が研究室から臨床の場に移りつつある。MD管理の主な目的は、急性めまい発作の軽減と反復性発作の予防である。治療オプションは、実証的エビデンスに基づいており、リスク因子の管理ならびに第一選択薬による保存的治療が行われている。薬物治療によってめまい発作が抑制されない場合、通常、ゲンタマイシン鼓室内注入療法あるいは内リンパ嚢開放術が考慮される。このPrimerでは、MDの病態生理、症候学、診断、管理、QOLおよび予防について解説する。
PrimeView
メニエール病は内耳の多因子疾患である。このPrimeViewでは、耳鳴(連続性の鳴り響く雑音)、耳閉感(耳の圧迫感)、めまい(クラクラ感)、変動性難聴などのよく見られる症状について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー