結核
Tuberculosis
2016年10月27日 Nature Reviews Disease Primers Article number: 16076 (2016) doi: 10.1038/nrdp.2016.76
結核は結核菌群を原因とする空気感染性疾患である。結核菌は主に肺病原体として作用するが、全身のほとんどの部位で疾患を引き起こすことができる。結核菌による感染症は、菌が肉芽腫内に隔離されて宿主内に封じ込められた状態(潜在性結核感染症)から、咳嗽、発熱、寝汗、体重減少などの症状が患者に発現する伝染期へと進展する。活動性肺結核のみが伝染する。結核は多くの低所得国と中所得国の罹患と死亡の主因であり続けており、多くの施設で薬剤耐性結核が大きな懸念となっている。結核の診断では、迅速分子検査などのいくつかの新しい方法が開発されているが、より簡便なポイントオブケア検査法が求められている。通常、抗菌薬の長期多剤併用療法が行われているため、より短期間での治療方法の開発が進められている。結核は幼児や小児にとって生命を脅かす疾患であり、主な予防法としてカルメットゲラン桿菌(BCG)ワクチンが世界で使用されているが、その効果は結核の世界的蔓延を阻止するに至っていない。このため、より有効性の高い新型ワクチンの開発への取組みが進められている。2035年までに結核の世界的蔓延を阻止するためには、新しいツールに加えて、改良対策プログラムの推進や資金援助も必要である。
PrimeView
このPrimeViewでは結核菌による感染症の複雑な病態について取りまとめる。結核菌が肺内に潜伏している間は無症候性であるが、活動性結核に進展すると抗菌薬の長期多剤併用療法が必要となる。疾病負担が大きく資源の乏しい地域では結核の罹患率と死亡率が高い。
本Primerの図解サマリー