マシン・インテリジェンスのための学際的フォーラム
Nature Machine Intelligence は、投稿論文の受付を開始しました。 本誌は、機械学習やロボット工学、人工知能(AI)を支える幅広いトピックスについて原著論文や総説を掲載します。また、こうした分野が科学の他の領域や、社会・産業の多くの側面に与え始めている大きなインパクトについて調べ、議論します。 本誌は、原著論文、総説、Perspectives、Comments、Features、News & Viewsのさまざまなセクションで、この分野における飛躍的な進歩や時事問題について詳しく幅広くコンテンツを掲載します。このブログは、Nature Machine Intelligence の編集長Liesbeth Venemaと、シニアエディターTrenton Jerdeによって書かれました。
この数十年間、人工知能(AI)研究はロボット工学と並行して着実に進歩してきましたが、近年、進化のペースが大きく加速しています。その原因が、コンピューターの処理能力の向上、インターネット、モバイル機器、低コストのセンサーやカメラの普及、ビッグデータの急増などにあることはよく知られています。最近では、人工知能が多くの技術をどのように再活性化し、社会を変革し、長年の研究課題への取り組みに役立っているか、その反面、人類にどのような短期的・長期的リスクをもたらすおそれがあるかについて耳にすることが多くなりました。
近年、ディープラーニングの応用が急速に進み、人間の能力に近いか、それを上回るほどの音声認識、言語翻訳、画像分類が実現しました。現在の研究の目標は、より広い適用可能性をもち、人間や現実世界と安全にやりとりできるAIシステムを開発することです。研究者は、機械学習、記号的推論、認知科学、発達心理学、ロボット制御工学、人間-機械相互作用などのさまざまな概念やアプローチを持ち寄って、目標の達成をめざしています。さらに、あらゆる分野の科学者が、AI研究がもたらす新しい概念を利用して大量のデータを処理し、自分たちの専門分野を変革する方法を模索しています。
2019年1月創刊
今回創刊するNature Machine Intelligence は、研究コミュニティーがこうしたテーマについて討論するためのフォーラムとして、人工知能とロボット工学に関する幅広いトピックを探ります。刊行の目的は、この分野をさまざまな科学分野と結びつけ、近年の進歩が、科学、社会、産業にとって何を意味するかを論じることにあります。
本誌は、コンピューター科学やロボット工学はもちろん、生物学、医学、物理科学、認知科学、社会科学など、あらゆる分野からの投稿を歓迎します。インテリジェント・マシンは、ほとんどの分野で重要になってきているからです。特に重視するのは、異なる分野が交わるところにあるトピックです。私たちは、さまざまな分野の著者が集まる場を提供することで、科学的問題に対する多様な見方を紹介したいと考えています。具体的には、人工知能工学とロボット工学、人間-機械相互作用、自然知能と人工知能に関する基礎研究、物理学と生物学におけるAIのアプローチの統合、社会におけるAIアルゴリズムなどのトピックを扱います。
Nature Machine Intelligence の編集は、社内の論文編集者、制作編集者、編集アシスタントの専任チームが行います。編集者は大学および産業界の研究コミュニティーと関わりをもつことで、卓越した著者向けサービスと査読者向けサービスを提供します。私たちは最高水準の再現性を保ち、質の高い編集・出版ポリシーを守ります。
本誌のComment、Review、News & Views記事やNews Featureは、それぞれの研究を幅広い文脈の中に置いて背景と展望を示すことで、科学的発見を専門家以外の読者にも親しみやすいものにします。人工知能と隣接分野のコミュニティー、政策、倫理的問題についても取り上げます。 ネイチャー・リサーチの経験豊かなプレスチームは、研究が確実かつ正確にメディアに伝えられるように目を配り、著者の研究ができるだけ多くのオーディエンスに伝わるようにお手伝いします。
Nature Machine Intelligence は有料の学術誌です。人工知能分野のジャーナルにこうしたモデルを採用することの是非をめぐり、数カ月前から研究コミュニティー内で議論が起きています。私たちは、上述のような編集努力により幅広い学問分野のオーディエンスに届くジャーナルを実現するためには、多くの読者にコストを分担していただくのが最も確実だと考えています。
編集方針
私たちはNature Machine Intelligence を、多くの分野の科学者や、人工知能やロボット工学が可能にするーあるいはできないーことについて職業的または個人的な興味を持つ人々に、情報と刺激を与えるリソースにしたいと考えています。
- 論文の内容の所有者は、あくまでも著者です。arXivやbioArxivなどにプレプリントを投稿されることを強くお勧めします(プレプリントについて)。
- Nature Machine Intelligence では、すべてのNature 関連誌と同様、シュプリンガーネイチャーのコンテンツ・シェアリング・イニシアチブ「SharedIt」を通じて、出版された論文のPDFを共有することができます。SharedItは、2014年からNature 関連誌で試験的に運用され、その成功を受けて本格的に導入されました。著者と読者には、論文の全文(閲覧専用)へのリンクが提供されます。このリンクは、ソーシャルメディアチャネルや、その他の広く利用されているサイト、機関のリポジトリ、著者のウェブサイト、学術共同ネットワークなど、どこにでも貼り付けることができます。 ここにNature Electronics の論文を、SharedItでの論文共有の例として示します(https://rdcu.be/PuVR)。なお、Nature 関連誌はResearchGateと共同して、出版された論文を共有できるようにしています。
- ネイチャー・リサーチの学術誌は、論文の最高水準の再現性と報告の透明性を保ちます。Nature Machine Intelligence の編集者は、著者や査読者とのやりとりにおいて、査読およびデータやコードの共有につき特別な配慮をします。
- Nature Machine Intelligence は論文著者に、オープンソースコードを選び、オープンデータを実践することを推奨します。必要がある場合には、コードも査読の対象となります。Nature 関連誌は研究者に、投稿中や出版時にGitHubなどのリポジトリを利用してコードを共有することと、オープン・ソース・イニシアチブが承認するライセンスを使用することを強く推奨します。
- Nature 関連誌は、シュプリンガーネイチャーのリサーチ・フォー・ライフ(Research4life)プログラムとの提携に参加しています。このイニシアチブは、世界の最貧国の研究者に、関連するジャーナルへの無料または格安でのオンラインアクセスを提供しています。